ホーム新着情報＞ サイトのキセキ＞ 平均点700点の呪縛-3

平均点700点の呪縛その３

元請完成工事高（Z2評点）についても、建設投資額の減少により、
元請完工高（Z2）の予想平均点が608.59点になるということで、
予想平均点が700点程度になるように、評点テーブルに
700点／608.59点を掛け合わせて上方修正されました。

この改正も「平均点700点」の維持を目的としたものです。

しかし、完工高（X1）と元請完工高（Z2）の予想平均点の差により
評点テーブルの修正幅に差が出たことによる影響はないのでしょうか。
（X1点の予想平均点687.56点、Z2点の予想平均点608.59点）

そこで、平成20年4月の改正時に、元請完工高（Z2）の影響が
どうであったかを考慮しながら、今回の改正の影響を考えてみましょう。

平成20年4月の改正では、完工高（X1）の係数が
0.35から0.25に10％引き下げられました。

一方、技術力評点（Z）では、元請完工高評点が新設され、
係数が5％引き上げられました。

その評点のバランスは、技術職員数値4／5、元請完工高1／5と
なっていますので、技術職員数値は、0.25×4÷5＝0.2、
元請完工高は、0.25×1÷5＝0.05と計算できます。

したがって、大雑把に考えれば、
引き上げ分5％は元請完工高と考えられます。

そこで、まず、完工高（X1）の10％の減少分のうち、
5％分をこの元請完工高で取り戻そうという観点から、
平成20年の改正と今回の改正を比較してみました。（下表参照）

（平成20年4月改正の詳しいデータは、WiseNET2008.6月号参照）
⇒ http://www.wise.co.jp/wisenet/files/pdf/0806.pdf

今回の特徴は、元請完工高（Z2）の評点が、完工高（X1）の評点と
同じになる元請完工高の金額が現行（平成20年4月改正）より
少なくなっているということにあります。

すなわち、元請完工高（Z2）のテーブルの方が
大きく上方修正されましたので、元請割合が完工高（X1）の
ほぼ30％程度で従来の完工高（X1）の減少分を補えるようになりました。

さらに、元請割合がこれ以上高ければ、
得点の加算が期待できる状況にな
りました。

また、従来は完工高の大きい階層の方がこの割合
（元請完工高÷完工高）が低く、完工高の小さい階層より
有利な状況にありましたが、この比率の格差が縮小しました。

┌───────────────────────────────┐
│例）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│
│完工高100億円の場合、従来より、元請完工高が26億6,666万円　　　　　　　│
│少なくとも同じ水準を維持できる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│
│●現行経審　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│
│　完工高100億円　　⇒　元請完工高　約54億3,750万円（約54.4％）　　　　　│
│　　X1点　1,449点　　　　Z2点　1,449点　　　　　　　　　　　　　↓　　　　　　　　　│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　↓　　　　　　　　　│
│●新経審　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓　　　　　　　　　│
│　完工高100億円　　⇒　元請完工高　約27億7,084万円（約27.7％）　　　　　│
│　　X1点　1,475点　　　　Z2点　1,475点　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│
└───────────────────────────────┘

予想平均点が700点程度といっても、各社の置かれている状況は様々です。

したがって、改正経審のもとでは、
元請の多寡で今まで以上に差が生ずることになります。

また、現状はバランスがとれているといっても今後どのように
変化するかは分かりません。

元請優位の状況は認識しておきましょう。

　　　　　　　
　【サイトのキセキ】へ戻る