馬淵澄夫国土交通相は7日、建設産業の再生と発展のための
方策に関する当面の基本方針を発表した。
厳しい経営を強いられている地域建設業の再生策として、
透明性を確保した「地域維持型の契約方式」の導入を打ち出したのをはじめ、
大手・中堅企業の技術力・事業企画力を発揮させるために
技術力などを重視した契約方式を実施。人を大切にし、
施工力のある企業を支援する方策として、保険未加入企業を排除することや、
業界の過剰供給構造是正のために市場への参入規制を検討することなども盛り込んだ。
基本方針は、昨年12月に設置した有識者会議「建設産業戦略会議」
(座長・大森文彦東洋大教授)がまとめたもので、建設産業の現状を、
建設投資の急減で過剰供給構造にあると指摘。
この結果、低価格競争が激しく、人材育成に取り組む優良企業ほど
経営が苦しくなっているとして、
▽地域社会の維持に不可欠な建設企業の再生
▽建設生産を支える技能・技術の承継の確保
▽大手・中堅企業による技術力・事業企画力の発揮
▽過剰供給構造の是正
−の4施策17事業を再生・発展に向けた当面の基本方針として提示した。
基本方針では、地域建設業について、地域の経済・雇用や防災などの
担い手として不可欠だと指摘。
地域建設業の疲弊が地域社会の衰退につながることを避ける必要があるとして、
その再生を支援するため、地域建設業が担うことが望ましい事業は
従来にも増して地域建設業に委ね、
地域を維持する上で必要な事業者に
一定の配慮をした契約方式の導入を検討するとした。
大手・中堅企業に向けた施策では、国内の建設投資が限られる中、
高い技術力を生かして大規模工事や難易度の高い工事を担うと同時に、
海外市場にも積極的に進出できるよう、支援することが必要だとして、
「参加企業の絞り込み」と「企業の成長につながる技術力」などを
重視した契約方式の実施や、海外展開のためのリスク軽減策の導入、
CMの制度化など新たな国内市場の創設などを挙げた。
国交省は建設産業戦略会議での議論を経て3月に
入札契約適正化法に基づく適正化指針改正を含め
11年度の実施施策をまとめる。
6月には戦略の全体像をまとめ、12年の通常国会での建設業法改正などにつなげる。
【建設工業新聞 2011.1.11 記事掲載】
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