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小規模宅地等課税の特例改正のインパクト

改正の概要

昨年4月、相続税の特例である

「小規模宅地等の課税の特例」が改正され、

この特例で評価減できるケースが縮小されました。

これの伴い、最近、この特例に関する相談も増えています。


この「小規模宅地等の課税の特例」は、

相続人の事業用宅地や居住用宅地を相続人等が相続した場合に、

一定要件のもと、その土地の課税価格が

一定割合減額される租税特別措置です。

このうち実家の相続で問題になる「特定居住用宅地等」については、

240uまでを限度面積としてその課税価格の80%を

減額するというものです。


しかし、昨年の改正により、配偶者以外の相続人が

実家の敷地を継いだとしても、被相続人の生前から同居し、

相続後継続して住み続けているなど、

所定の要件を満たす以外は、

80%の評価減の適用ができなくなっています。

改正前は、50%の評価減が認められるケースもありましたが、

改正後は、80%評価減が適用できなければ、

実家の敷地は丸々100%の評価(80%か0か)で

相続税が課税される事態になるわけです。


また、賃貸併用住宅では、賃貸部分と居住用部分を

厳格に分けて小規模宅地等の課税の特例を

適用することとなったため、敷地の評価額は

上昇する公算が高くなっています。

適用の可否に係る相談が増えているのも

当然と言えるかもしれません。

改正でどれくらいかわるのか?

改正前の小規模宅地等の課税の特例の適用状況を

まとめた国税庁の資料によると、

直近の平成20年事務年度の小規模宅地等の

課税の特例の適用件数は全体で、4万2507件、

このうち特定居住用宅地等として評価減の

適用を受けた件数は3万90件、

この件数に係る相続人の人数3万4721人、

減額金額は5747億円という規模です。


このうち「特定居住用」の数字の中には、

賃貸併用住宅の敷地で貸付部分でも

「特定居住用」として減額されたケースが含まれています。

改正後は、ここから賃貸併用住宅の賃貸部分の

敷地が削減されることになります。


また改正前、居住用でも相続人等による

居住の非継続で50%の評価減が認められた

「上記以外の居住用」の数字が5509件、

相続人数6972人、減額金額542億円とありますが、

改正でこれがなくなるものとみられます。

これは、このケースで相続人ひとりあたり

約777万円の減額が消えることになるわけです。

賃貸併用住宅の相続等では警戒を

親の住宅(実家)の敷地を継いで、小規模宅地等の課税の特例を

受けられない可能性の高いケースで代表的なのは、

相続人である子が独立して住宅を持っているケースです。

実家の居住の継続が難しいためです。

もちろん、この特例の適用は、遺産分割して

相続する人が決まらないとできません。

遺産分割以前に家族内が不和だということになると、

特例適用など論外ということになります。

さらに、賃貸併用住宅でも敷地の評価額アップが

避けられない状況です。


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